Trouble with Knee Joint

トップページ  人工関節センター  膝関節でお悩みの方

膝関節でお悩みの方

メッセージ

本来の機能を取り戻し、術後も含めた生涯におけるサポート体制を。

日本は長寿の国としても有名で、年々寿命は長くなっておりますが、人体の膝関節の部品である軟骨や骨は一生その機能を維持出来ません。歳をとるにつれ、関節の表面を覆っている軟骨はすり減り、軟骨周囲の骨はもろくなり関節全体は変形が進んで行ってしまいます。軟骨の摩耗は歩行障害や炎症をもたらしますが、人工関節に入れ換えることによって再び歩けるようになったり、痛みから解放されるといったメリットがあります。その一方で、以前と完全に同じ動作ができるようになるわけではなく、ある程度生活が制限されてしまうケースもあります。
当センターでは、できる限り人工関節を使用する前と同じ日常生活をお送りできるように、手術前の案内からリハビリ、さらには生涯にわたるメンテナンスまで一貫してサポートしていきます。

膝関節による具体的な初期症状

こんな症状はありませんか?

  • 立ち上がり、歩き始めが痛い
  • 長く歩くと膝が痛くなる
  • 階段の上り下りに痛む
  • 正座がしづらい
  • 膝が腫れる
  • 膝を動かすとギシギシ音がする
  • 膝が腫れている(水がたまっている)

初期症状として、「膝がこわばる感覚がして、つっぱり感がある」「なんとなく動かしにくい」「歩行開始時や階段昇降で痛みを感じる」などの動作に関しての違和感や固定感を感じることがあります。その後、病状が進行していくと、「歩行中、常に痛みを感じる」「膝の曲げ伸ばしが困難になり、膝の中でガクガクと音がする」「歩行時に体が揺れ、15分以上歩くことが難しい」と感じます。

外見上の特徴として、変形性膝関節症では膝の内側の軟骨がすり減り、膝と膝の隙間が極端に開くO脚となることがおおいです。反対に、関節リウマチの方の初期は変形が少なく、関節の腫れが強い傾向にあります。ただし、関節リウマチであっても、疾患が進行すると外側の軟骨がすり減り、X脚となることが多くなります。

膝関節による主たる疾患

  • 変形性膝関節症
  • 大腿骨内顆骨壊死
  • 膝関節リウマチ
  • 脛骨顆部骨壊死
  • 外傷後の二次的変形性膝関節症

代表的な疾患は上記ですが、特に患者さまの多い「変形性膝関節症」「膝関節リウマチ」について説明していきます。

膝関節の代表的な疾患

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

変形性膝関節症は年齢とともに膝関節の関節軟骨がすり減って、膝の痛みと変形が来る病気です。日本人の65才以上の方の50%以上にあるといわれ、女性に多く発症する傾向にあります。そのため、高齢化社会を迎えた日本では代表的な病気ともいうことができるでしょう。発症の原因は関節軟骨の老化と考えられますが、同じように暮らしていても、発症する人も発症しない人もおられ、個人差があります。その中ではっきりと関係のある要因は肥満であるとわかっています。膝関節には日常的な歩行をしているだけで体重の約3倍の力がかかるといわれており、変形性関節症の予防や発症の進行を止めるためには、体重をコントロールすることが重要です。初期の症状は正座ができない、椅子から立ち上がりの時の痛みや階段での痛みなどがあげられます。その後、進行するにつれて、関節の動きが悪くなり、時に関節に水がたまるようになります。通常は膝関節の内側の軟骨が痛むことが多く、軟骨がすり減ってきますので膝がO脚変形をしてきます。

関節リウマチ

関節リウマチは関節の内面をおおっている滑膜(かつまく)に炎症が起こることで、進行すると軟骨・骨が壊れていく病気です。体重を足で支えることが難しくなり歩行ができなくなります。強い痛みを引き起こし、日常生活に必要な生活動作が不自由になる病気です。

代表的な治療法

膝関節の人工関節の治療には手術をしない治療(保存療法)と手術療法があります。保存療法には薬物療法(内服、関節注射)・運動療法・装具療法・物理療法などがあり、通常は何か一つではなく、いくつかの両方を組み合わせて行います。ただし、比較的初期の変形の軽いときは保存療法で痛みをコントロールすることができますが、変形が進行し疼痛が強くなってきた場合は、膝が曲げにくくなるだけでなく、歩行も困難となるため手術が必要となります。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術は傷んだ軟骨、骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、金属、セラミック、ポリエチレンでできた人工関節を、その自分の骨の上にしっかりと固定する手術です。人工関節という言葉には聞きなじみがないかもしれませんが、実は日本における手術件数は年々増加しており、約10年で約2倍に増えています。

手術治療の中で最も痛みをとる効果が高いとされ、また変形の矯正が行える安定した手術です。人工膝関節の固定には通常、骨セメントという樹脂(物質名:ポリメチルメサクリレート)を使用する場合(セメント固定)とセメントを使用せず固定する場合、その組み合わせ(ハイブリッド固定)がありますが、当院では近年良好な成績が報告されているセメントレス固定(セメントを使用しない)を積極的に行っています。

ポリメチルメサクリレートは従来歯科材料として使用されていたものを人工関節に応用したもので、人工関節分野では約40年の歴史があり、強固な固定が得られる優れた材料です。しかし一旦セメントのゆるみが生じてしまうと再手術につながりやすいため、患者様の骨の状態を確認した上でセメントを使用しない金属が現在普及してきています。人工膝関節の耐久性は、10年間ゆるみがなく、日常生活が過ごせる可能性が95%以上あり、長期に安定した手術法です。

MIS-TKA

当院ではMISでTKAを行っています。従来の手術では15~20cmの傷を必要としていましたが、MIS‐TKAでは10cm程度の傷で行います。また、従来の手術より太ももの筋肉へのダメージを最小限にとどめる方法で行っています。MIS-TKAでは手術の傷が小さく、目立たなくなることもメリットのひとつですが、筋肉や腱へのダメージを最小限にとどめるため、手術後の痛みが少なく、回復が早くなることが最大のメリットです。
ただし、MIS-TKAはすべての患者さんに行えるわけではありません。
当院ではMIS-TKA専用に作製された手術器具を使用し、トレーニングを受けた医師が手術を行うことで、90%以上の患者さんにMIS-TKAが可能となっていますが、関節リウマチの方や膝関節の状態、全身の健康状態によっては従来の手術法になる場合もあります。
また、いくら傷が小さくても人工膝関節の設置がうまくいかなければ長持ちする膝関節にはなりません。当院ではまず手術結果が良いことが最も大切なことと考えていますので、手術中の判断で傷を大きくすることもあります。

手術後の経過・リハビリテーション

人工関節は一生の付き合いになる施術です。長期的なメンテナンスも必要になり、そのためにも術中~術後にかけての疼痛管理やチームでのリハビリテーションなど、とても重要になってきます。当院では、様々な体制で皆さまをサポートしてまります。

疼痛管理

人工膝関節置換術の手術後は比較的疼痛が強いと言われており、当院では術後早期の鎮痛目的で周術期の超音波ガイド下神経ブロックを行っております。
超音波ガイド下神経ブロックは、手術部位に関連する神経に超音波で位置を確認しながら安全かつ正確に麻酔薬を投与し、高い鎮痛効果が得られる方法です。

人工膝関節置換術に伴う危険性(合併症)はいずれも頻度の低いものになります。ただし、術後感染(病原菌による膿み)で人工関節周囲は血流が乏しいなどの理由で、いったん感染を起こしてしまうと非常に治りにくい性質を持っています。
そのため、当院では感染予防策として、手術室はクリーンルームを使用し、術者も宇宙服のような特別な手術着を着用して術者から細菌が入らないように対策をしています。また、予防的な抗生物質の全身投与なども行い、感染の可能性は1%以下です。万が一感染が起こった場合でも、早く発見して処置を行えば治る場合も多くあります。

リハビリテーション

術後のリハビリについて、当院ではリハビリテーション部と協力してしっかりとしたメニューで取り組んでいます。(専任リハビリテーションスタッフもあります。)
手術後2日目に歩行練習を開始し、ほとんどの方は術後3週間前後で一本杖歩行が可能になり退院することができます。